イタリア人のセンス恐るべし!
こんにちは。最先端のマテリアルを見ると心が躍るコントラクト事業部部長の木原です。
早速ですが、世界の二大デザイン大国ってご存じでしょうか。
答えはイタリアとデンマークです。
今回はイタリアのデザインマテリアルを紹介します。
私は不覚にも最初にこのマテリアルのカットサンプルを見た時「カットされたストローを並べてアクリル板で挟んでるだけやん!」って叫んでいました。
しかしクライアントが気に入られ、どの様に使用するかを試行錯誤する事と成ります。
メーカーはイタリアのフィレンツェとジェノバの中間付近にあるトスカーナ地方の夏だけの観光小都市であるマッサに本社を構える企業で、金物メーカーとして有名なベネッティグループ企業である「ベンコア」です。
これは飽く迄私個人の印象ですが、イタリア人のデザイン能力は高いですが、非常に大雑把な性格で製品としての品質は極めて低いのが常識と思っていましたが、それもミラノ等の大都市近郊の大手企業の印象です。
それが夏場は海水浴客を相手に商売し、冬には市民総出でスイスなどに移住してスキーを楽しむマッサで、まともな商材が作られる訳が無いと思っていました。
(マッサ市民の皆様ごめんなさい。)
そして今回弊社で使用したマテリアルは大小異なる輪切りカラーストローの様なチューブをランダムに纏めたハニカム構造に、表面はクリアとマットのアクリル板でサンドした「ライトベンカオス」と呼ばれるデザインマテリアルをセレクトしました。
リビングの出入口に巨大な三連引き戸、脱衣・ランドリー室の出入口に引き戸として使用しました。
今回はこのライトベンカオスを引き立てる為、金物業者で特注制作した黒色艶消し焼付仕上げとした細いスチールフレームを用意し、イタリアからの(実際には日本代理店の有限会社シーブさんを通じて)到着を今か今かと待ち構えていました。
コロナ禍の影響も有りやっと到着したライトベンカオスをフレームに嵌めてみようとするとメーカーが公表する製品の厚みは21mmでしたが、厚さがマチマチで最大24mm程ありフレームに収まりません。
代理店に確認しても「イタリア製ですから誤差は御了承ください」と言われてしまいえば「確かにイタリア製だから仕方がない」と諦める他ありません。
フレームは作り直し、重量増加によりスライドレールの金物も変更する事と成り、やっとの事で組上げたライトベンカオスを見れば、日本の製品であれば不良品として工場の門を通過する事の無いであろう、チューブの所々に蜂蜜の巣の如く接着剤が溜まっていたり、私自身疑問符しか出てこない、アクリルメーカーなのに中に木片が混入していたりと、消沈したまま、クライアントに隠す訳にもいかず「こんなところがイタリアっぽいですよね。」と脇に嫌な汗を感じつつ、最高の営業スマイルを浮かべていました。
然し、実際に現場に設置して光を通した瞬間、これまでの苦悩を一瞬にして全て忘れさせる幻想的な光景が広がっているではないですか。
「幻想的」の表現しか思い浮かばぬ程に美しく、正にイタリアンマジックの催眠に掛けられた思いです。
私も30年近くデザイナー商売を致しておりますが、心の底から「イタリア人のセンス恐るべし!」と言う他ありません。
個人的には二度と制作の立場では使いたくありませんが、デザインマテリアルとしては最高に美しい商材ではないかと今回おススメします。